学力の前に育てたい「聞く・待つ・切り替える力」〜小学校入学前に大切な「考えて動く力」とは〜

「うちの子、順番を待つのが苦手で…」

「遊びに夢中になると、なかなか次の行動に移れない」

「何度言っても忘れてしまう」

子育てをしていると、そんな姿に心配になることがあるかもしれません。

しかし、それは単なる「わがまま」や「やる気の問題」ではなく、子どもの成長の中で育っていく大切な力と関係しています。

実は、読み書きや計算などの学力を身につける前に育てておきたい力があります。

それが「聞く・待つ・切り替える力」です。


学びを支える土台となる力

子どもたちは園や学校で、毎日たくさんの指示や情報を受け取っています。

先生から

「お話を聞きましょう」

「お片付けをしましょう」

「次はプリントを出してください」

と言われたとき、話を聞いて覚え、今していることを止めて、次の行動に移す必要があります。

また、友達との関わりの中では、

  • 順番を待つ
  • ルールを守る
  • 感情をコントロールする

といった場面もたくさんあります。

こうした力は、勉強だけでなく日常生活を送るうえでも欠かせないものです。


「聞く・待つ・切り替える力」とは?

専門的には「実行機能」と呼ばれる力です。

簡単に言うと、

自分の行動や気持ちをコントロールしながら、目的に向かって行動する力

のことです。

例えば、

聞く力

先生や保護者の話を聞き、内容を覚えて行動する力です。

「上履きを履いてから、かばんをしまってね」

という指示を覚えて実行する場面などがこれにあたります。

待つ力

自分のやりたい気持ちを少し我慢する力です。

順番を待ったり、友達の話を最後まで聞いたりすることにつながります。

切り替える力

遊びや好きなことを中断し、次の活動へ移る力です。

園や学校生活では特に大切になります。


小学校生活で大きな差になる

小学校に入ると、

  • 授業中に話を聞く
  • 指示通りに行動する
  • 宿題に取り組む
  • 忘れ物を減らす

など、自分で考えて行動する場面が増えていきます。

そのため、「聞く・待つ・切り替える力」が育っていると、新しい環境にも適応しやすくなります。

逆に、この力がまだ発達途中だと、

  • 勉強は分かるのに取り組めない
  • 最後まで集中できない
  • 気持ちの切り替えが難しい

という形で困りごとが表れることがあります。


家庭でできる「聞く・待つ・切り替える力」の育て方

「聞く・待つ・切り替える力」は、特別な教材や勉強で育てるものではありません。

実は、毎日の生活の中にたくさんのチャンスがあります。

① 一度に伝えることは1〜2つにする

子どもに、

「手を洗って、カバンを片付けて、明日の準備をしてね」

と伝えても、全部を覚えるのは難しいことがあります。

そんなときは、

「まず手を洗おう」

「次はカバンを片付けよう」

というように、一つずつ伝えてみましょう。

成功体験を積み重ねることで、「聞いて覚えて行動する力」が育っていきます。

② 少しだけ待つ経験をつくる

子どもが何かを欲しがったときに、すぐ応えるのではなく、

「時計の長い針がここまで来たらね」

「お兄ちゃんの番が終わったらね」

など、少し待つ経験を作ることも大切です。

もちろん無理をさせる必要はありません。

「待てたね!」

と認めてもらう経験が、我慢する力につながります。

③ 切り替えを手伝う声かけをする

遊びをやめられないとき、

「早く片付けなさい!」

と言いたくなることもあります。

そんなときは、

「あと3分でおしまいだよ」

「このブロックが完成したら終わりにしようか」

など、見通しを持たせる声かけがおすすめです。

突然やめるよりも、子どもは気持ちを切り替えやすくなります。

④ 結果よりも頑張りを認める

間違えなかったことより、

  • 最後までやりきれた
  • 自分でやり直せた
  • 気持ちを切り替えられた
  • 順番を待てた

といった過程に目を向けてみましょう。

例えば、

「100点ですごいね」

だけで終わるのではなく、

「最後まで集中して取り組めたね」

「間違いに気づいてやり直せたね」

と声をかけることで、子どもは「考えて行動すること」に価値を感じるようになります。


結果だけでなく「過程」を見てみよう

私たち大人は、

「正解できた」

「テストで良い点が取れた」

といった結果に目が向きがちです。

しかし、本当に大切なのはその過程です。

例えば、

  • 間違いに自分で気づけた
  • 途中でやり直すことができた
  • 気持ちを切り替えられた
  • 最後まで取り組めた
  • 順番を待てた

こうした姿は、学びの土台となる力が育っている証拠です。

たとえ結果が思うようでなくても、その頑張りや成長を認めてあげることが、次の意欲につながります。


子どもの「できた」を見つけてあげよう

聞く力、待つ力、切り替える力は、すぐに目に見えるものではありません。

だからこそ、大人が小さな成長に気づいてあげることが大切です。

「今日は順番を待てた」

「一回で話を聞いて動けた」

「泣かずに切り替えられた」

そんな小さな「できた」の積み重ねが、将来の学びや社会性を支える大きな力へと育っていきます。


まとめ

子どもの成長を考えるとき、つい読み書きや計算といった「見える力」に目が向きがちです。

しかし、その前に育てたいのが、

「聞く・待つ・切り替える力」

です。

先生の話を聞く。

順番を待つ。

気持ちを切り替える。

最後までやり遂げる。

こうした力は、学習だけでなく人生そのものを支える大切な土台になります。

ぜひ結果だけでなく、その過程にも目を向けながら、お子さんの小さな成長を見つけてあげてください。

その「できた!」の積み重ねが、小学校での学びや将来の生きる力につながっていくはずです。

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